
かくて行動経済学は生まれり (文春e-book)
マイケル・ルイス and 渡会圭子
この本について
人の判断って、どこまで信用していいのか分からなくなる瞬間があります。仕事で決めきれなかったり、誰かの強い意見に流されたり、あとから「あれ、なんであんな選択したんだろう」と自分で自分に首をかしげたり。頭では冷静に考えているつもりでも、実際には見えていないものだらけなんだろうな、と感じる人も多いはずです。 『かくて行動経済学は生まれり』は、その「見えていない部分」を無理に整理しようとせず、人がどんなふうに間違えるのかを淡々と描いてくれます。たとえば、物語に引っ張られると論理が見えなくなるとか、未来の後悔を避けようとして選択がねじれるとか、専門家でさえ確率を過信したり無視したりするとか。自分でも思い当たる場面がありすぎて、読んでいて少し気まずくなるほどでした。でもその気まずさが、判断の癖をそっと照らしてくれる感じがあります。 特に心に残ったのは、間違いをなくすには「正しい答え」ではなく「違和感を指摘できる環境」が必要だという視点です。コックピットの例が象徴的で、優秀さよりも、疑問を言える空気が事故を減らしたという話は、日常の会議やプロジェクトにもそのまま重なります。合理性を装うより、自分の思考の限界を自覚するほうが前に進めることもあるんだなと感じました。 自分の判断に少しでも不安がある人、あるいは「なんであの人はあんなふうに決めるんだろう」と他者の行動に戸惑う人には、とくに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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