
ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫)
二宮 フサ
この本について
人のために動いているつもりなのに、どこかで自分の下心も混ざっている気がして落ち着かない。誰かに説教めいたことを言ってしまったあとに、あれは本当に善意だったのかとモヤモヤする。そういう場面って、日常でけっこうありますよね。自分の中の動機が一枚岩じゃないことをわかっていても、うまく言葉にできずに曖昧なまま積もっていく感じがあります。 ラ・ロシュフコーの『箴言集』は、その曖昧さに容赦なく切り込んできます。「美徳だと思っているものは、欲の寄せ集めに過ぎない」という指摘を読むと、善意の裏側を見せつけられるようでドキッとするし、「説教には善意より傲慢が働いている」という一文は、日々の会話の中のちょっとした優越感を思い出させます。読んでいて気持ちよくはないのに、妙に腑に落ちるのは、自分の行動の微妙な揺らぎを正確に言語化してくれているからだと思います。 そして、この本の効き目は、自己嫌悪に引きずり込むのではなく、むしろ肩の力を抜かせてくれるところです。英雄でさえ虚栄心まみれだと書かれているのを読むと、「まあ人間なんてこんなものか」と思えて、自分の動機が混ざっていることも、それほど特別な欠点ではないと受け取れる。精神の強さですら身体の状態に左右されるという視点も、気合いや意志のせいにして自分を追い込んでしまう癖を少し和らげてくれます。 他人からどう見られるかより、自分が本当に好むものを選んだほうが満ち足りる、という感覚にうまく言葉を与えてくれる本でもあります。自分の内面の混ぜものを、責めずに見つめたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要




