
医学生のための医学史(まとめ問題付き): 流れがわかる&大事なとこだけ
百島祐貴
この本について
勉強をしていると、どうしても「目の前の試験範囲を覚えるので精一杯」で、医学の背景にある人間や社会の大きな流れまで手が回らないことってありますよね。自分もそうで、教科書の知識は積み上がるのに、なぜ今の医学がこうなっているのかがつかめず、どこか地に足がつかない感じが残っていました。 この本を読んで少し楽になったのは、医学が積み重ねてきた試行錯誤の「手触り」が急に立ち上がってきたことでした。たとえば、動脈に空気が入っていると思われていた理由が、死体解剖で実際にそう見えたからだと知ると、「昔の人が非科学的だった」みたいな単純化ができなくなります。そこには、今と同じように限られた前提で必死に考えていた人間がいる。アスクレピオスの神話や中医学の成立過程、ヴェサリウスがガレノスに200項目も反論した背景なども、ただの歴史の話ではなく、「医学が人間理解をどう広げてきたか」の実例として見えてくる感覚があります。 そしてもう一つ大きいのは、医学の外側の知識──歴史や文学、芸術まで含めて人を知ろうとする姿勢が、医学生にも必要だと静かに語ってくれるところです。黒死病でユダヤ人が迫害された理由や、床屋外科医の話、パレが偶然膏薬に辿り着いたエピソードなどは、臨床とは直接つながらないようでいて、医療が社会や文化と切り離せないことを実感させてくれます。 「専門知識を覚えるだけでは、自分の中に医学が定着していかない」と感じている人には、特に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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