
エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層 (ベスト新書)
鹿島茂
ベストセラーズ / 2017-05-09
この本について
最近、世界の動きがどうにも「噛み合ってない」感じがして、ニュースを追っても霧が晴れないまま…ということがよくあります。個々の人は賢くなっているはずなのに、社会全体はむしろ変な方向に転がっていくあの感覚です。僕自身ずっとその違和感を持ち続けていて、この本を読んだときにようやく少し輪郭が見えました。 トッドの家族類型や識字率を軸にした歴史人口学は、国の政策とかリーダーの意志よりも、はるかに深いところで集団の動きを決めてしまう「無意識の構造」を扱います。たとえば、なぜ出生率が下がるのかを“意識の変化”ではなく“集団の無意識”として捉える視点。あるいは、自由や競争を当然と思う社会と、知や権威が重んじられる社会の違いが、どこから生まれてきたのか。その背景に家族の形や女性の識字率があると示されると、世界のバラバラな現象が一本の線でつながってくるんですね。 読みながら、国や会社、地域の「なぜこの流れになるのか」を個人の努力論だけで説明しようとしていた自分に気づきました。集団の癖みたいなものを前提にして考えるだけで、無駄に落ち込んだり、逆に期待しすぎたりする場面が減る。そういう意味で、この本は“世界の見え方を少しだけ調整してくれる道具”に近いです。 長い歴史のなかで人々がどんな家族をつくり、どんな教育を受け、どう暮らしてきたかから社会を眺めてみたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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