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さよなら、愛しい人 フィリップ・マーロウ〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

さよなら、愛しい人 フィリップ・マーロウ〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

レイモンド チャンドラー and 村上 春樹

累計読者数4
平均ハイライト数 6.5件/人
star総合評価 42/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 26%

この本について

最近、仕事でも人間関係でも、相手の本音が読めないまま状況だけが転がっていくことってありませんか。こちらは落ち着いていたいのに、水面下ではあひるみたいに必死で足を動かしている感じ。自分の判断が正しいのかもわからないまま、なんとなく毎日をやり過ごしてしまうあの感覚です。 『さよなら、愛しい人』の抜粋を眺めていると、読者が惹かれているのは「世界の雑さと、自分の等身大さがそのまま描かれているところ」なのかなと思いました。突然後ろから殴られたり、ふと時計を見て時間の流れに置いていかれたり、立派な肩書の人間が平然と嫌味を口にしたり、どこかの不動産屋の夢が風化していたり。マーロウ自身も完璧ではなく、預金残高は心細いし、世界への諦念と、それでも続けるしかない小さな矜持のあいだで揺れています。その揺れ方が、日常を生きる私たちに妙に重なるんですよね。 読んでいると、世界は急に劇的に変わらなくても、自分の目の向け方だけは少し変えられるかもしれないと思えてきます。例えば、ただの「乳児サービスのトラック」を見送る場面で、マーロウがふっと想像を重ねる余裕を持つように、混沌のなかでも自分のペースを取り戻す視点があることに気づかされる。人が正直でありたいと思ってもそうなれない、と淡々と述べるような世界観に触れると、無理に頑張らなくてもいいんだと少し呼吸が楽になります。 肩書や正しさよりも、「それでも歩くしかない大人の不器用さ」を抱えたまま読める物語です。薄汚れた世界に優しさを探す感覚を取り戻したい人に刺さると思います。

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