
終末のフール (集英社文庫)
伊坂幸太郎
集英社 / 2009-06-26
この本について
仕事でも人間関係でも、「正しさ」と「本音」の間で揺れることが多いなと思います。強がりたいのに弱さが出たり、誰かを許したくないのに、心のどこかで少しだけ緩む瞬間があったり。そんな自分の揺れ幅に疲れてしまう時があります。 『終末のフール』を読むと、その揺れが少しだけそのままでよくなるんですよね。登場人物たちはみんな、あと三年で世界が終わるという極端な状況にいながら、やっていることは驚くほど日常的で、人としての癖や迷いがそのまま出てくる。例えば、苗場さんが「俺は、俺を許すのか?」と自分に問いかける姿には、立派な答えを探すんじゃなくて、まず自分と向き合うところから始めればいいんだな、と静かに背中を押されます。あるいは、兄弟のわだかまりがふと緩む場面では、関係って劇的に変えるんじゃなくて、ある一言でようやく呼吸ができるようになることもあるよな、と妙に納得させられます。 世界の終わりという大きすぎる設定のはずなのに、読後に残るのは「人ってこういうところあるよね」という質感なんですよね。誰も英雄ではないし、誰も完全ではない。だからこそ、現実の私たちにもそのまま持ち帰れる視点が多い。強くなりたいのに強くなりきれない人、他人に優しくしたいのに余裕がない人、自分の弱さを責め続けてしまう人には、とても静かに効いてくる本だと思います。 「うまくやれない自分も、生きている限りそのまま抱えていくしかないよな」と思っている時に、そっと横に座ってくれるような一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要









