
ホテルローヤル (集英社文庫)
桜木紫乃
Bright Sparks / 2015-06
この本について
人と関わるたびに、自分の将来も他人の本音もよく分からなくなることがあります。昨日まで普通だったことが、ふとした出来事で揺れたり、逆に「こんなはずじゃなかった」が日常に紛れこんだり。割り切れないまま続いていく関係や感情を、どう扱えばいいのか分からなくなる時ってありますよね。 『ホテルローヤル』は、そういう“割り切れなさ”を無理に整理しようとせず、そのままの形で見せてくれるような小説でした。登場人物たちは誰も特別じゃないし、立派でもない。でも、笑い顔に滲む本音とか、男のドラマに巻き込まれたくなる気分とか、陽の下に出ると急にぼろが出る関係の脆さとか、読んでいるこちら側がどこかで経験してきた感覚に妙に手触りが近いんです。将来を“見えている側”と“見たばかりの側”のズレに戸惑う感じも、言い当てられた気がしました。 特に効いたのは、関係がこじれてもいつか解けていくという希望が、きれいごとではなく生活の泥の中で語られているところと、幸せを未来形で語るのではなく、黙ってやるしかないという冷静さでした。どちらも厳しいけれど、妙に肩の力が抜ける視点です。 「人間のどうしようもなさを嫌悪しきれない人」に刺さると思います。 きれいに答えが出ない感情を抱えたまま生きているとき、この本は無理に元気づけるわけではなく、立ち止まっている自分を少しだけ許せるようにしてくれます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
読書の順序
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出版社による紹介
目次
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