
別冊NHK100分de名著 読書の学校 中野京子 特別授業 『シンデレラ』
中野 京子
この本について
なんとなく「自分の見方って浅いのかも」とモヤっとする時ってありますよね。作品でもニュースでも、表に出ている情報だけを拾って判断してしまう自分に気づいて、ちょっと落ち込むというか。でも忙しい日常で、裏側まで考える余裕なんてそうそうないのも分かるんです。 この本は、そんな視点の限界にそっと風穴を開けてくれる一冊でした。シンデレラって、努力の象徴でもなければ、ただの受け身キャラでもない。ペローとグリムでは性格がまるで違うし、足が小さい理由に纏足の影響があるかも、とか、姉たちが「意地悪=醜い」と描かれる背景に文化的な偏見が潜んでいるとか。知っているつもりの物語の裏に、実はこんな層があったのかと何度も立ち止まりました。「表面だけで判断しない」という話が、昔話の分析を通すとこんなに腑に落ちるのかと驚きます。 もう一つ刺さったのは、「耐えて待つ」という願望そのものをどう扱うか。理不尽に耐えながらも、どこかで奇跡を期待してしまう気持ちって、誰しも覚えがあると思うんです。努力は日常で十分、夢くらい受け身でいたい――そんな心理を物語に見いだす視点が、変に自己啓発されることなくすっと入ってきました。「弱さ」を否定しない感じが心地よいです。 シンデレラを題材にしつつ、最終的には「自分のものの見方を疑う」ための練習帳みたいな本です。表に見える情報だけで判断してしまいがちな人、あるいは自分の感情の根っこをもう少し丁寧に見たい人には特に刺さると思います。作品の読み方だけでなく、日常の景色まで少し変わるかもしれません。
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