
印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書)
中野 京子
累計読者数46
平均ハイライト数 7.1件/人
star総合評価 55/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 38%
この本について
絵を見るとき、「作者の人生まで背負って読まないといけないのかな」とか、「結局“正しい見方”があるんでしょ?」と、どこか息苦しさを感じることがあります。僕も長いあいだ、美術館で立ち止まれず、結局キャプションばかり読んで帰るタイプでした。 この本は、その窮屈さをほどく視点を何度もくれます。印象派は、知識で“読む絵”から距離を置き、ただ感じてほしいと願ったこと。最初は嘲りとして生まれた運動だったこと。画家の人格や時代背景がどれほど複雑でも、「にもかかわらず美しい」瞬間が絵に宿ること。その流れを知ると、作品の前で身構える必要がなくなるというか、「自分の感じたものに寄せていいんだ」と思えるようになります。 同時に、当時の社会の冷たさや階級の差、写真技術やチューブ絵具の発明といった“現実”も淡々と描かれます。絵をロマンで包まず、ちゃんと地面の上で読む感じが、逆に作品を近くしてくれる。母子像の背景にある育児観や、ブルジョワと労働者のあいだの断絶を知ると、ただの優しい絵がまったく違う顔を見せ始めます。 作品の意味を一つに決めつけられるのが苦手だった人、芸術に正解を求めて疲れてきた人には、特に届くと思います。
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