
80's エイティーズ ある80年代の物語
橘 玲
幻冬舎 / 2020-08-06
この本について
仕事でも人生でも、「自分はこのままでいいのか」というモヤモヤがふと出てくることがあります。昔の選択を思い返しては、もしあの時こうしていたら…と考えてしまうやつです。でも実際には、過去をやり直すことも、自分の物語をきれいに整理することもできない。そんな停滞感の中で、この本を読むと少しだけ呼吸がしやすくなります。 『80's ある80年代の物語』は、著者自身が若い頃に経験した迷い、空回り、ちょっとした背伸びの連続を淡々と振り返る一冊です。ただのノスタルジーではなく、「記憶は都合よく改変される」と正面から語るところがこの本の強さで、読みながら、自分の過去の勘違いや選択の揺らぎもそのまま抱えていていいんだと感じられます。旅に理由を求めてしまう癖や、誰とも話さずに一日が終わる孤独、そして友人を失って少し大人になる瞬間など、具体的な場面が自分の経験とゆっくり重なるんです。 もうひとつ効くのは、「人はそんなに自由でも万能でもない」という冷静さです。遺伝の話や社会構造の話は一見ドライだけれど、努力すれば何でも変えられるという幻想から距離を置けると、逆に肩の力が抜けます。夢を追い続けることの輝きと、それに蝕まれていく現実の両方を書いているからこそ、変われなかった自分を過度に責めなくて済む。そういう不思議な優しさがあります。 自分の「青春」がどんな形であれ、一度でも立ち止まったことのある人に刺さる本です。
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