
この本について
なんとなく気持ちが停滞していて、部屋の空気まで重たく感じる時ってありますよね。やらなきゃいけないことはあるのに腰が上がらないし、どこかに行きたい気もするけど、理由が見つからないまま一日が終わっていく。僕もよくそのループに入ります。 原田マハさんの『フーテンのマハ』で「なんのことはない、単純に移動フェチなんです」という一文を読んだとき、ふっと力が抜けました。理由のある旅じゃなくてもいいし、立派な目的なんてなくていい。動きたくなるときは、ただ動きたいだけ。その当たり前の感覚を、変に理屈づけなくていいんだと気づかされます。ページを開くと、マハさんが出会った土地や人の話が淡々と綴られていて、こちらまでどこかへ連れ出されるような感覚があるんですよね。 この本のいいところは、読んでいるうちに自分の「ちょっと動きたい」という衝動まで許せるようになることです。遠出じゃなくても、コンビニまで散歩するとか、知らない道を一本だけ歩いてみるとか、そういう小さな行動に目が向くようになる。もうひとつは、マハさんの視点に触れていると、旅って大げさなものじゃなくて、日常の延長線にあるんだなと思えるところです。移動のハードルがぐっと下がる感覚があります。 日常の同じ景色に少し飽きてきた人、理由はないけどとにかく動きたい気持ちを抱えている人には特にしっくりくると思います。僕自身、この本のおかげで「移動したいから移動する」というシンプルな衝動を大事にしやすくなりました。読んだ翌日に近場をふらっと歩くだけでも、意外と気分が変わるものですよ。
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