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家から5分の旅館に泊まる

家から5分の旅館に泊まる

スズキナオ

累計読者数6
平均ハイライト数 6.2件/人
star総合評価 47/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 29%

この本について

最近、遠出する気力が湧かないとか、休みがあっても「何をすればいいのかわからないまま終わる」みたいな感覚を抱えることが増えてきました。昔は気分転換といえば酒か、思い切っての小旅行だったのに、それすら体力や気持ちがついてこない。近所をただ歩くだけで終わる日があると、自分でも驚くほど落ち込むことがあります。 『家から5分の旅館に泊まる』を読んでいて感じたのは、そういう“疲れ切った状態”のままでも受け止めてくれる本だということでした。派手な癒しを求めないまま、ただ知らない道を歩くときの安堵。遠くに行かなくても「よく知っている町の、知らない夜」に身を置くことで、ほんの少し世界の密度が変わる瞬間。旅という言葉のイメージを大きくしすぎなくていいんだな、と肩の力が抜けました。 そしてこの本は、旅を「人生を変えるイベント」として扱わないところが救いでした。行けば行けなかった場所が生まれて、触れられるものはほんの砂粒ほど。それでも、そのわずかな時間が記憶として残り、自分という一回性をそっと確かめられる。大げさじゃないのに、妙に沁みるんですよね。疲れている時期ほど、こういう視点がありがたいです。 人混みも遠出もいらない。ただ、数分先の旅館やビジネスホテルに泊まるだけで、日常の輪郭が少しだけ変わる。この感じが必要なのは「とにかく今は何も頑張れないけれど、どこかで息だけはしたい人」だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

行き先は何も遠い地に限らない。近所の旅館やビジネスホテルにも、知らない世界が広がっている。 執着を解き放ち、自分の輪郭を失くしながら歩く知らない町。人に出会い、話を聞く。言葉に出会い、考える。それでもこの世界をもう少し見てみたいと思う小さな旅の記録。 話題作『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』でデビューし、今「最も注目すべき」書き手であるスズキナオ、初の旅エッセイ集。前向きな言葉、大きな声に疲れているすべての人へ。 今の疲れ果てた自分でも読めるような、むしろ、こんなときだから読みたくなるような本はないものだろうか......書棚をもっとよく探せば見つかったのだろうけど、そのときは体力もなく、まばゆく見える本ばかりが並ぶ書店をよろよろと出ての帰り道、暗くて静かな旅行記を書こう、と心に決めたのだった。大好きな『つげ義春日記』の、あの雰囲気が念頭にあった。(中略)旅先で出会う何かに心が癒されるとか、元気になるとか、そんな自分勝手なことを期待しているわけではなく、知らない土地を歩くことで、そのあいだだけは、自分自身のことを考えずに済むのかもしれない。ただ、見ているだけ、聞いているだけ、歩いているだけの存在になれるような気がするのだ。そしてその行き先は何も遠い地に限らない。近所の旅館やビジネスホテルにも、知らない世界が広がっている。(「まえがき」より)
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