
さいはての中国(小学館新書)
安田峰俊
小学館 / 2019-10-08
この本について
ときどき、自分が見ている世界がどれだけ狭いんだろう…と不意に不安になることがあります。国際ニュースは毎日流れてくるのに、そこで語られる「中国」という巨大な存在が、どうしても平板なイメージのまま立ち上がってこない。良い悪いの二択で説明される世界に、どこかモヤモヤが残る人は多いと思います。 『さいはての中国』を読んでいて感じたのは、そのモヤモヤが「情報量の不足」ではなく、「人間の姿の欠落」から来ていたんだということでした。たとえば、習近平の周囲にいる人物たちを“権力の中枢”としてではなく、若い頃に下放で一緒に泥まみれになった友人だったり、地方勤務でたまたま縁ができた相手だったりと、人間関係の積み重ねとして描いてくれる。その距離感の変化だけで、ニュースの裏側の風景が一気に立体的になります。 さらに刺さったのは、モンゴル族や漢族の気質の違い、留守児童の抱える事情、夜の街でプロパガンダ歌謡を熱唱する若者たち…といった、教科書では絶対に出てこない「生活の匂い」が丁寧に拾われているところです。格安スマホをいじる仕草や、フリルだらけのワンピースの描写のような細部が、遠い国を急に身近にしてくれる感覚がありました。 中国を理解したいわけじゃなくても、「世界のどこかで生きている人を、ただ一人の人間として想像したい」という人に向いていると思います。ニュースの受け止め方が少し変わるだけでも、日々のざらつきが和らぐことがあるんですよね。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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