
ESG経営を強くする コーポレートガバナンスの実践
松田千恵子
日経BP / 2018-12-21
この本について
配当性向とか資本コストとか、言葉は知っているのに「結局どう判断すればいいのか…」と毎年の株主対応シーズンになるたびに手が止まることがあります。成長も還元も大事だと言われる一方で、投資家からは「それで結局どっちを優先するつもりなの?」と聞かれるあの感じ。自分の中で整理がつかないまま資料だけが増えていく、あのモヤモヤです。 この本が面白いのは、欧米との差や制度論を知識として並べるのではなく、「なぜ投資家はその行動をとるのか」「日本企業のどこにズレが生じているのか」を、かなり踏み込んで説明してくれるところでした。たとえば、配当を出すことが海外投資家から“成長の諦め”に見えるという指摘や、小ぶりな上場企業が株主対応で抱える負担の重さは、自分の現場感覚と妙にリンクします。また、政策保有株式を続ける企業にとって、投資家の視点から突きつけられる問いがどこにあるのかがとても具体的で、読んでいて姿勢がピンと正される感覚がありました。 結局のところ、ガバナンスは制度の話ではなく、企業がどんな未来像を描き、どのリスクを引き受けるかの問題なんだなと気づかされます。「成長か配当か」を選びきれずに曖昧にしてしまう時ほど、外からの期待との齟齬が大きくなる。そう分かっていても迷う人にとって、この本は“考える軸”を渡してくれる一冊だと思います。 経営企画やIRで「投資家が何にイラつき、何を期待しているのか」をちゃんと理解したい人に刺さる本です。
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