
人生パンク道場 (角川文庫)
町田 康
KADOKAWA / 2019-02-23
この本について
日常を送っているだけなのに、ふと「自分はどこに向かってるんだろう」とか「これで良かったのかな」と立ち止まる瞬間ってありますよね。恋愛も仕事も、選んだ道の先にあるのは“答え”じゃなくて、じわっとした迷いのようなものばかり。僕もよくそこで足が止まります。 『人生パンク道場』は、その迷いを力技で消してくれるわけじゃありません。でも、町田康さんの語り口に触れていると、不思議と“迷ったままでも進める感じ”が出てくるんです。例えば、恋愛や結婚を「不安」と「安心」という視点で静かに言い分けてくれるところとか、選択肢が多いほど人は後悔しやすい、という現代ならではの苦しみを「そうだよな」と受け止めやすい形にしてくれるところとか。忘れるからこそまた失敗もするけれど、その忘却の仕組みごと人間だよね、という距離感も妙に落ち着きます。 特に響いたのは、“人生はそもそもやり切れないもの”という前提に立っているところです。そこに立つと、無理に前向きにならなくても、今日の一歩をそのまま歩けるようになる。自分が押したスイッチで世界が少しだけ変わる、というささやかな手応えを取り戻すきっかけにもなります。 迷いを抱えたまま動いている人、あるいは「選んだはずなのに不安が消えない」みたいな感覚をずっと持っている人には、かなり沁みる本だと思います。僕もこの本を読んだからと言って悩まなくなったわけじゃないけれど、悩みを抱えたままでも前に進める速度が少しだけ整った気がします。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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