
短歌ください 双子でも片方は泣く夜もある篇 (ダ・ヴィンチブックス)
穂村 弘、陣崎 草子
KADOKAWA / 2025-10-24
この本について
人間関係って、距離を詰めたいわけでも離れたいわけでもなくて、その中間でずっと立ちすくんでしまう時がありますよね。相手の気持ちも自分の気持ちもよく分からないまま、でも日常は続いていく。仕事帰りの電車の中でふと、「私って何をこんなに考えてるんだろう」と少し笑えてしまうような、あの感じです。 『短歌ください 双子でも片方は泣く夜もある篇』を読んでいて思ったのは、この本の短歌は、その“どうにも言葉にしづらい半端な気持ち”の部分にやたら強いということでした。例えば「点滅が赤に変わってほっとする」のような、望みが潰えた瞬間だけ楽になれる感覚とか、「別々の歩道橋から夜を眺めて」のように、一緒にいるわけじゃないのに、なぜかその人にだけ泣きながら電話してしまう夜とか。過剰にドラマチックじゃないのに、生活のど真ん中にある感情がそのまま拾われている感じがします。 もう一つ、この本の強さだと思ったのは、「正しい気持ち」じゃなくて「その人が今そう感じてしまう理由」を丸ごと認めてくれるところです。「君よりも君の躰が好きだって言われても私ここにいるしか」とか、「知らないでしょう知らなくていい」とか、言葉にしてしまうと弱く見えたり、格好悪かったりする心の揺れを、まず否定しないで置いてくれる。読んでいるこちらも、ちょっと呼吸が楽になる瞬間がありました。 日常のどこにも劇的なことが起きなくても、心だけは勝手に揺れる。その揺れを面白がれる余裕が少し戻ってくる本です。恋愛でも家族でも仕事でも、「説明できない気持ちに振り回されがちな人」に静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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