
暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病
ウォルター・シャイデル, 鬼澤 忍, and 塩原 通緒
東洋経済新報社 / 2019-06-07
この本について
最近、「不平等って結局どこから来るのか」「努力とは別のところで決まってる感じがする」とぼんやり考える時間が増えました。自分ひとりの視野で考えると余計にわからなくなるんですが、この本を読むと、悩んでいた土台そのものが歴史の積み重ねでできていることが見えてきます。個人の感情より、もっと大きな力がどう作用してきたのかを静かに整理してくれる感じです。 たとえば、格差が広がるのは資本主義が悪いからでも、最近の政策が悪いからでもなく、古代バビロニアの頃から「経済成長」と「権力者のレント取得」が常にセットだった、という視点は自分の思考をリセットしてくれました。あるいは、戦争や疫病のような暴力的な衝撃だけが格差を縮めてきた、という不都合な事実に触れると、「じゃあ自分たちは平和の中で何を選べるのか」と問い直さざるを得ません。抽象的な希望より、現実の構造を知って足場をつくる感じに近いです。 もうひとつ刺さったのは、福祉国家の拡大や参政権の広がりでさえ、必ずしも“人類の必然的進歩”ではなかった、という点でした。スウェーデンの事例のように、国としての経験や脅威が偶然積み重なって、結果的に再分配を支える文化ができた。今の日本をどう見るかにもつながる視点です。 歴史を知って「今の不平等をどう扱うか」を自分の頭で考えたい人に向いている本です。
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