
地域引力を生み出す 観光ブランドの教科書 (日本経済新聞出版)
岩崎邦彦
日経BP / 2019-11-06
この本について
観光の仕事に関わっていると、「うちの地域って、何を打ち出せばいいんだろう」とか「とりあえず魅力を全部盛りすればいいのかな」といった迷いが、どうしてもつきまといます。観光客が増えても現場は疲弊するし、かといって何を削ればいいのかも分からない。僕自身もそのモヤモヤをずっと抱えていました。 この本が効いたのは、「観光客は“商品”ではなく“価値”を買いに来ている」という視点に戻してくれたことでした。たとえば、自然や歴史といった“どこにでもある要素”では動かない現実や、逆に「その地域に行くとリラックスできる」「おいしい食に出会える」といった体験のほうがリピートを生むという指摘は、自分の現場感とも重なりました。何かを足すより、思い切って引き算することでむしろ引力が強まる、という発想にも救われました。全部を抱えようとして空振りしていた理由が腑に落ちます。 そしてもう一つ、この本は“量を追うほど地域も事業者も疲れていく”という現実から目をそらしません。短期的な誘致より、地元に愛される店づくりや、一貫したブランド表現を丁寧に積み上げていくことこそ長く効く。そんな当たり前だけど忘れがちな道筋を、具体例で示してくれます。 観光やまちづくりの現場で、「結局うちの地域の魅力って何なんだろう」と立ち止まっている人にこそ、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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