
BUTTER(新潮文庫)
柚木麻子
新潮社 / 2020-02-01
累計読者数55
平均ハイライト数 22.2件/人
推定読了時間 約6時間40分
star総合評価 69/100
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check_circle推定完走率 39%
この本について
仕事でも人間関係でも、「正しさ」や「努力」に寄りかかりすぎて、いつの間にか自分が何を感じているのか見失ってしまう時があります。私もそうで、食べ物ひとつ選ぶのにも力が入ってしまう日があるんですが、ふとこの小説を読むと、その凝り固まり方そのものが物語の中の里佳と重なって、妙に胸がざわつきました。 『BUTTER』は事件ミステリーというより、食と欲望をめぐる視点がじわじわ効いてくる作品です。特に、バターとマーガリンの味の区別がつかない里佳と、「本物」を語りながら人を圧倒する梶井。二人の会話の間にある“感覚の差”が、私たちの日常にもそのまま潜んでいるんですよね。誰に合わせて生きてきたのか、どうやって欲を抑えてきたのか、ちょっとした食の描写が急に自分の話に変わってくる感じがあります。 もうひとつ刺さったのは、誰かと食べても最後は一人に戻ってしまう、あの空洞のような感覚です。満腹なのに妙にさみしい瞬間や、頑張っているはずなのに孤立していく感じを、作者はさらっと描きながらも容赦なく照らしてきます。事件そのものより、そこに集まる欲望や偏見、そして「自分をどう扱ってきたか」の問題が見えてきて、読み終えた後にじんと重さが残りました。 自分のこだわりや弱さを一度立ち止まって見てみたい人に刺さると思います。
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出版社による紹介
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。(解説・山本一力)
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