
この本について
仕事をしていると、「なんでこんなに文章がまわりくどいんだろう」とか、「本音で話したいだけなのに、建前ばかりが飛び交うな」とか、そういう小さなモヤモヤが積み重なる瞬間ってありますよね。自分が臆病なのか、周りが複雑なのか、その境目もよくわからなくなったりします。 『清明 ―隠蔽捜査8―』を読んでいて感じたのは、そういう現場の混乱や息苦しさを、竜崎という人物がスパッと切り分けてくれるところです。官僚的な形式に流されず、本質だけを拾い上げようとする姿勢は、読むこちら側の視点まで整えてくれます。難しいことを難しいまま扱うのではなく、わかりやすさを恐れない。その態度が、日常のやり取りを思い返すきっかけになるはずです。そして、信じる相手にまで疑念を向けてしまう自分の癖にも気づかされます。疑うことが悪いわけではないけれど、「臆病だから疑っているだけ」という指摘は痛いほど現実的で、どこか救いにもなります。 立場のしがらみや空気の読み合いに疲れ気味の人、あるいは「本当はもう少しシンプルに考えたい」と感じている人にはとても刺さると思います。物語としての面白さはもちろんありますが、それ以上に、自分の仕事の風景が少しクリアになるような一冊でした。
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