
この本について
人と関わる仕事をしていると、「自分や家族を守りたい気持ち」と「周りとの関係を荒立てたくない気持ち」のあいだで揺れることって多いですよね。言いたいことを飲み込んでしまったり、逆に相手に合わせすぎて後でモヤモヤしたり。正しさって何なんだろう、と立ち止まる瞬間がけっこうあります。 『清明―隠蔽捜査8―』の抜粋を読んで、「ああ、この感じだ」と思った人は多いはずです。近隣との無駄な軋轢に気づく視点や、駆け引きがうまい人ほどはっきりノーと言えるという一文は、自分の振る舞いを見直すきっかけになります。正面から向き合う姿勢は、強さというよりも、後々の関係を守るための現実的な行動なんだと腑に落ちます。 さらに、組織が複雑化していく描写もどこか他人事ではなくて、職場で起きている「なぜこうなっているのか分からない業務」や「場当たり的な配置」をそのまま見ているようでした。自分のいる環境を少し俯瞰して理解できると、関わり方にも余裕が生まれます。 葛藤の中で丁寧に判断したい人に刺さる作品です。物語として面白いのはもちろんですが、読んだあとに日々の人間関係や仕事の決断にちょっとした芯が通る感じがあります。自分の正しさを押しつけずに、でも曖昧にもしない。その姿勢をそっと思い出させてくれる一冊でした。
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