
ひとの住処―1964-2020―(新潮新書)
隈研吾
この本について
仕事でも暮らしでも、「この時代の大きな流れの中で、自分はどこに立っているんだろう」と、ふと迷うことがあります。目の前の出来事を追うばかりで、背景にある“補助線”が見えない感じ。何かに押し流されているけれど、その正体がつかめないまま時間だけが過ぎていくような、あの落ち着かなさです。 隈研吾さんの『ひとの住処』は、そのもやもやに静かに輪郭を与えてくれる本でした。抜粋にもあるように、「建築が人をつくる」というチャーチルの言葉や、20世紀の工業化が実は“家という欲望”を中心に動いていたという視点は、社会の大きな変化を身近な生活とつなげて見せてくれます。建築そのものの歴史を語っているようでいて、実際には「社会は何を求めてきたか」「人は何に従属してきたか」という、人間の流れを読む話に近いんです。 特に響いたのは、建築家に必要なのは造形力ではなく「社会がその建築に何を求めているかを理解する能力」だという一節。これは建築だけでなく、僕らの働き方そのものにも置き換えられる気がします。いま自分が向き合っている仕事は、どんな時代背景に支えられているのか。何を期待されているのか。そこを押さえるだけで、行き詰まりの見え方が少し変わるはずです。 こんな人に刺さると思います。目に見えない大きな流れの中で、自分の立ち位置をもう一度とらえ直したい人。建築に詳しくなくても読めますし、むしろ「社会を見るための道具としての建築」という距離感がちょうどいい本でした。
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ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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