
村上春樹の世界 (講談社文芸文庫)
加藤典洋
講談社 / 2020-05-11
累計読者数3
平均ハイライト数 4.3件/人
推定読了時間 約4時間37分
star総合評価 40/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 36%
この本について
仕事でも日常でも、自分の中にある「弱さ」みたいなものをどう扱えばいいのか分からなくなる時があります。強くあろうとしても、結局は説明のつかないもやっとした違和感だけが残る。そんな時に、村上春樹の作品世界を扱うこの本を読むと、弱さそのものを別の角度から見直す余白が生まれる感じがありました。 加藤典洋は、村上作品に出てくる人物の「弱さ」を、ただの個人的な問題ではなく、時代や社会の空気とつながった現象として読み解いていきます。この視点が効いてくるのは、弱さを切り捨てるんじゃなくて、一度“異物として受け取り直す”という態度を提示しているところ。自分の中で扱いきれなくなった感情や価値観を、別の位置に置き直してみると、意外と動ける余地があるんだなと感じました。 もう一つ印象的なのは、「正しさ」の論理に飲まれそうになる主人公が、あえて街にとどまろうとする場面の読み解きです。加藤は、それを単純な反抗ではなく、“弱いものの立場に視点を置く”選択と見る。これが、自分が何かを判断するときに、どこから世界を見ているのかを問い直すきっかけになります。 村上春樹を深く読みたい人だけでなく、「弱さとどう向き合うべきか」で足踏みしている人に向いた本です。
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出版社による紹介
同世代・同時代の小説家である村上春樹に深い関心を持ちつづけた文芸評論家・加藤典洋が節目節目に発表してきた作品論や書評を集成。小説家に対し一貫して好意的だったが時に厳しくもあった批評の射程は、デビュー作『風の歌を聴け』から最新長編『騎士団長殺し』にまで及んでいる。本書は村上春樹の小説世界に分け入る際の良い手がかりになるだけでなく、「批評」とはどのような営みなのかを読者に知らず知らずのうちに伝えてくれる、他に類を見ない評論集。遺稿「第二部の深淵――村上春樹における「建て増し」の問題」収録。
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