
発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ (角川文庫)
小倉 ヒラク
KADOKAWA / 2020-06-12
この本について
仕事でも生活でも、「自分の努力だけで世界を動かしてる気になってしまう瞬間」があると思うんです。全部をコントロールしようとして息が詰まったり、逆に何かが噛み合わずに落ち込んだり。そんなときにこの『発酵文化人類学』を読むと、ちょっと肩の力が抜けました。人も環境も、そもそも“ひとりでは発酵できない”前提で動いているんだよな、と。 この本の面白さは、発酵をただの食文化としてではなく、「協力しないと成立しない現象」として描き直してくれるところでした。麴菌が他の微生物のために働いたり、カビと酵母がバトンリレーのように役割を分け合ったりする話を読んでいると、自分の仕事のチームワークや、生活の中での人間関係も同じ構造なんじゃないかと気づきます。また、塩がない山奥だから生まれた“すんき”のように、制限がクリエイティビティを生むという視点も、行き詰まっていた考えをゆるくひっくり返してくれました。 さらに、「コミュニケーションしている私」ではなく「コミュニケーションに使われている私」という逆転の視点は、日々の会話の捉え方まで変えてきます。思い通りにならないことを否定するより、今いる環境でどう反応し、どう混ざっていくかを考えるほうが健全なのかもしれない。そんな静かな発想の転換が積み重なっていく本でした。 自分のペースで働きたいのに、つい“完璧にやらなきゃ”と思いがちな人に刺さる一冊です。
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