
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ― (新潮文庫) (好日シリーズ)
森下典子
飛鳥新社 / 2002
この本について
日々やっていることの意味がよくわからなくなる時ってありますよね。努力しているつもりなのに、手応えがないまま時間だけが過ぎていく感じとか、何かを学んでいるはずなのに「結局、私は何をつかめているんだろう」と不安になる感じとか。僕もそういう焦りにしょっちゅうつまずきます。 『日日是好日』は、そのモヤモヤに少しだけ光を当ててくれる本でした。すぐに結果が出ないことには価値がないように見える世の中で、「すぐにはわからないものも確かにある」と静かに言われると、肩の力が抜けます。お茶の稽古で積み重なっていく“一滴一滴の水”の話は、僕たちの仕事や人生にもそのまま重なる感覚がありました。気づかないうちに溜まって、ある日ふっと世界の見え方が変わる。そんなプロセスを急がせない視点が、この本にはあります。 もう一つ刺さったのは、“人と比べない学び方”の話。学校では早く正解を出すことが求められるけれど、お茶の世界では「きのうまでの自分」と比べればいい。成熟のタイミングは人それぞれで、遅いことにも深さがある。その考え方に触れると、今の自分の速度でもいいんだと思えてきます。 焦りや比較でしんどくなりやすい人、そして「積み重ねの意味」を見失いそうな人に特に響く本だと思います。読後に何か劇的に変わるわけではないけれど、世界の手ざわりが少しやわらかくなる。そんな一冊でした。
読書インサイト
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