
茶の本 (岩波文庫)
岡倉 覚三 and 村岡 博
土曜社 / 2017-02-24
この本について
最近、うまく言えない疲れみたいなものを抱えている人と話すことが増えました。がんばっているのに整わない感じとか、部屋を片づけても気持ちはざわついたままとか、やるべきことに追われて「自分のペース」が完全に行方不明になるあの感じです。僕自身そういう日に読んで救われたのが『茶の本』でした。派手な自己変革ではなく、物事の見方が静かにずれるような感覚がある一冊です。 この本が効くのは、不完全さとうまく付き合えないときです。茶道は「不完全を崇める」と書かれていますが、それは諦めや妥協ではなく、外側を整えるより先に心の余白をつくるという姿勢に近いです。たとえば“美しいものは一つに注意を向けてこそ見える”という話は、タスクに押しつぶされている時ほどじわっときますし、茶室が外界の雑音から少し離れられる場だという説明は、自分なりの「一時停止ボタン」をどう作るかのヒントになるはずです。完璧に仕上がっていない自分を、そのままいったん置いておくという考え方にも近いと思います。 さらに、利休の好みを「人にわかってもらおうとしない勇気」と語るくだりがあって、これも刺さる人は多いはずです。自分のペースや好きなものを守るって、他人に理解されにくい時ほど難しい。でも、それを無理に説明しなくてもいいという感覚が少しだけ戻ってきます。 忙しさの中で「心がどこにも座れていない」と感じる人には、静かに効く本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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