
2010s
宇野維正、田中宗一郎
新潮社 / 2020
この本について
最近、カルチャーを追っていても「全体像がつかめない」「点でしか理解できていない気がする」というモヤモヤがずっと残っていました。好きな作品はあるのに、自分の中で線につながらない感じです。情報は山ほどあるのに、時代の空気がどこに向かっていたのかは意外と説明できない。そんなときに読んだのが『2010s』でした。 この本がおもしろいのは、「あの10年はストーリーテリングの時代だった」という視点で、音楽や映画、ファンダムの動きが一本の流れとして語られるところです。個別のヒット作やアーティストの話に見えて、その背後にあった構造や価値観の変化を静かに示してくれる。たとえば、ファンダムが点で消費されるようになった理由、ストリーミングで連続性が失われた背景、トップに立った作家たちがどう“自分の物語”を武器にしたのか。断片的に見えていた出来事のあいだに橋がかかる感覚がありました。 もうひとつ助かったのは、2019年あたりを境に世界がどう変わったかを、文化側から描いているところです。ローカルの課題と巨大なグローバル課題が混ざり合って、何に優先順位を置けばいいのか誰も判断できなくなる感じ。自分がいま立っている場所の混雑ぶりに、少しだけ輪郭がつくような読み心地でした。 カルチャーを「点で終わらせたくない人」、あるいは自分の感覚の背後にある文脈を探したい人には、とても相性のいい本だと思います。私自身、悩みが完全に解決したわけではないけれど、迷い方が少し変わりました。そんな一冊です。
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ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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