
公務員という仕事 (ちくまプリマー新書)
村木厚子
筑摩書房 / 20200708
この本について
仕事でも日常でも、「困っている人ほど声を上げられない」とか、「制度って誰のためにあるんだろう」と考え込んでしまう瞬間がありませんか。現場で見えている問題と、国や自治体の制度との距離にモヤモヤすることもあると思います。自分に何ができるのかもよく分からず、ただ違和感だけが残る、あの感じです。 『公務員という仕事』は、そのモヤモヤに少しだけ輪郭を与えてくれる本でした。たとえば、公務員の仕事を「翻訳」と表現するところ。現場の声を聞き取り、制度という言葉に置き換えていく過程が具体的に描かれていて、制度が突然どこかの会議室で生まれているわけではないと分かります。また、制度には完成形がなく、三年後・五年後に見直す前提で作られるという姿勢も印象的でした。制度をつくって終わりではなく、社会の変化に合わせて手を入れ続けるという視点は、仕事全般にも通じるところがあります。 もう一つ、大きく腑に落ちたのは「0を1にする人」「1を10にする人」そして「50を100にする人」という分担の考え方です。NPOや企業、学者、公務員がそれぞれ別の役割を担っていて、どれが偉いという話ではない。制度づくりの裏側を知ると、社会課題が“誰か一人の努力で解決しない”のは当然なんだと少し肩の力が抜けます。 社会の仕組みに対して無力感を覚えている人、あるいは自分の仕事がどこにつながっているのか見えにくい人に、静かに効いてくる本だと思います。
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