
その裁きは死 ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)
アンソニー・ホロヴィッツ、山田 蘭
東京創元社 / 20230911
この本について
仕事でも人間関係でも、状況が細かく動いているのに、自分だけ取り残されているような感覚ってありますよね。情報は多いのに核心にたどり着けないとか、相手の言葉の裏を読もうとして疲れてしまうとか。僕もそういうモヤモヤを抱えたまま日々を過ごすタイプなのですが、『その裁きは死』を読んでいると、その混乱が少し整理される瞬間があります。 ホーソーンの“いささかの曖昧さも許さない”姿勢や、場面の違和感を的確にすくい上げていく観察力は、こちらの思考のほつれを少しずつ整えてくれます。たとえば、何でもない質問が真実に向かう鍵になったり、誰も気に留めなかった懐中電灯の有無が状況をひっくり返したり。読みながら、「自分が見えていると思っていたものは、案外“衣服”にすぎないのかもしれない」と思わされます。また、ホロヴィッツ視点で描かれる“見逃し”や“読みちがい”が正直で、こちらの失敗も必要以上に責めなくていい気持ちにしてくれます。 物語としては軽やかに読めるのに、気づけば仕事の場面でも「何に惑わされているのか」を考える癖がつく。そんな意味で、このシリーズはちょっと変わった実用性を持っていると感じています。細やかな違和感に目を向けたい人、思考の流れを立て直したい人にはとくに響くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの14%が集中しています。
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