
テミスの剣 (文春文庫)
中山七里
講談社 / 2014-10-25
累計読者数34
平均ハイライト数 20.8件/人
推定読了時間 約7時間17分
star総合評価 70/100
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この本について
仕事をしていると、自分が正しいと思って動いたはずなのに、組織の事情や世間の空気に触れた瞬間に途端に迷いが出ることがあります。最初の違和感はたしかにあったはずなのに、周りの論理を聞いているうちに自分の軸がどこにあったのか分からなくなる。正しさって何だっけ、と立ち止まるあの感じです。 『テミスの剣』を読むと、その迷いを「弱さ」ではなく「生きている証」として扱ってくれる感覚があります。登場人物たちは皆、正義を簡単に語らないし、組織や制度の歪みとも向き合わざるを得ません。その中で「最初に感じたことがその人にとっての真実」という言葉が何度も響きました。自分の倫理観が揺さぶられたとき、どこまで耳を澄ませればいいのか、この本はその距離感を少しだけ示してくれます。また、知識も観察力も足りないなら取りに行け、という姿勢が物語の随所にあって、迷いながらも前に進むための現実的な手触りがあります。 特に、誰かを裁く立場の苦しさや、人間が完全な公平さを持てない限界について描かれた部分は、仕事で判断を求められがちな人ほど刺さると思います。「自分の声に従いなさい」という言葉は甘やかしではなく、覚悟を伴う提案として響きました。 自分の正義が揺らいだときにどう立て直すかに悩んでいる人に、静かに効いてくる一冊です。
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出版社による紹介
昭和五十九年、台風の夜。埼玉県浦和市で不動産会社経営の夫婦が殺された。浦和署の若手刑事・渡瀬は、ベテラン刑事の鳴海とコンビを組み、楠木青年への苛烈な聴取の結果、犯行の自白を得るが、楠木は、裁判で供述を一転。しかし、死刑が確定し、楠木は獄中で自殺してしまう。事件から五年後の平成元年の冬。管内で発生した窃盗事件をきっかけに、渡瀬は、昭和五十九年の強盗殺人の真犯人が他にいる可能性に気づく。渡瀬は、警察内部の激しい妨害と戦いながら、過去の事件を洗い直していくが...。中山ファンにはおなじみの渡瀬警部が「刑事の鬼」になるまでの前日譚。『どんでん返しの帝王』の異名をとる中山七里が、満を持して「司法制度」と「冤罪」という、大きなテーマに挑む。
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