
この本について
仕事でも暮らしでも、「ちゃんと見えているつもりなのに、どこかピントが合わない」と感じることがありませんか。目の前のタスクばかり追ってしまって、自分がどんな前提で世界を見ているのか、気づけないまま慌ただしく一日が終わっていく感じです。逃げたいのに逃げる気力もない、とか、変わりたいのに何を変えればいいのか分からない、とか。僕もずっとその沼にいます。 『アロハで猟師、はじめました』は、狩猟という全く別の世界を通して、自分の感覚が鈍っていることをそっと教えてくれる本でした。鴨そのものではなく「飛んでいく先の空間」を狙う、という一節がありますが、これがそのまま日常にも刺さるんです。目に見える対象だけを追うほど、かえって大事なものに当たらない。さらに、世界は「見ようとする者にしか見えない」という指摘も、環世界の話とあわせてじんわり効きます。自分がどんな偏見や欲望を抱えて世界を切り取っているのか、立ち止まって確かめたくなる瞬間が何度もありました。 もうひとつ印象的だったのは、田舎での人とのつながりや、そこにあるもので工夫する姿勢の描写です。カネではなく知恵でどうにかする生命力とか、役割が細かく分かれる猟の現場で、誰も「強者」になれないこととか。こういう泥くさいリアルが、逆に生き方のヒントをくれます。 日々の景色が平板に見えてきた人や、自分の感覚を取り戻したい人には、特に響くと思います。飾らずに読めるのに、読み終わると世界の輪郭が少し変わって見える本でした。
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