
みんなの民俗学 (平凡社新書0960)
島村 恭則
この本について
日常でふと感じる「なんでみんな同じ方向を向こうとするんだろう」とか、「説明はつかないけど気になる習慣って何なんだろう」という違和感、けっこう放置しがちですよね。仕事でも人生でも“正しさ”の基準に合わせる場面が多くて、そこからこぼれ落ちるものには名前がないまま。でも、この本を読んでいると、その曖昧な部分にちゃんと光を当ててもいいんだと思えてきます。 面白かったのは、民俗学が「時代遅れの昔話」を扱う学問ではなく、むしろ現代のSNSミームやお笑いネタ、神社の行列の並び方までを視野に入れていること。支配的な合理性から外れたものを〈俗〉としてすくい上げる視点があると、日常の違和感が急に立体的になるというか、「あ、これってただの変な現象じゃなくて、人が行動するときのパターンなんだ」と腑に落ちていきます。アマビエの創作が“サイクル”になっていく話や、肘神神社が実際に建っちゃう流れなど、笑えるのに妙にリアルで、自分たちも同じ土俵にいるんだと気づかされます。 この本は、日常の“普通じゃない感じ”を否定せずに拾ってくれるところがありがたいです。肩書きや制度の外側で動いている人びとの感覚を、そのまま学問にしてしまう懐の深さに救われる人も多いと思います。ふだん「説明しづらいことにモヤっとしている人」にこそ刺さる一冊でした。
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