
書きたい人のためのミステリ入門(新潮新書)
新井久幸
新潮社 / 2020-12-17
この本について
物語を書こうとすると、途中で手が止まることがよくあります。伏線の置き方に自信が持てなかったり、キャラがただの「役割」に見えてしまったり、世界観を作ったつもりがどこか薄っぺらかったり。自分もずっとそのあたりでもがいてきました。 『書きたい人のためのミステリ入門』は、そういう曖昧なつまずきを、具体的に言語化してくれる本でした。例えば「バールストン・ギャンビット」のように、プロが実際に使っている技法を名前ごと提示してくれるので、自分の書き方の癖を客観的に見直せます。また、伏線は“覚えてもらう”のではなく“気付けなかったと悔しがらせる”ことが大事だとか、登場人物が「そこにいる」と読者が信じられるように、背景を作り込む意味とか、創作の現場でよく迷う部分に、地に足のついた視点を与えてくれます。 特に響いたのは、「世界は少しの綻びで崩れる」という話。どれだけ設定が奇抜でも、内部の整合が取れていれば読者はついてきてくれる。逆にそこが曖昧だと、一気に現実に引き戻される。書いていると忘れがちな感覚を、実例とともに思い出させてくれました。 ミステリに限らず、「物語をきちんと組み立てたいけれど、何から直せばいいのか分からない」という人に刺さる一冊です。自分の書き方の“どこが弱いのか”を、静かに、でもはっきり教えてくれます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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