
冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか (ハヤカワ文庫NF)
管賀 江留郎
早川書房 / 2021-04-28
この本について
ときどき、自分でも気づかないうちに「きっとこうだろう」と決めつけていたり、限られた情報だけで他人を判断してしまったりします。頭では冷静でいたいのに、感情や思い込みに振り回されてしまうあの感じ、誰でもありますよね。仕事でも人間関係でも、一度そういうモードに入ると視界が狭くなっている自覚すら持てなくて、あとから振り返って落ち込むこともあります。 『冤罪と人類』が効いてくるのは、まさにその「無意識の決めつけ」がどれだけ普遍的で、人間の脳の構造に根を持つものなのかを、歴史の具体例とともに突きつけてくるところです。たとえば、情報が乏しいときに因果関係を勝手にでっち上げてしまう癖や、評判が人の人格そのものを形づくってしまう仕組み。「公平な観察者」のつもりでいても、実際には自分も完全じゃないという前提をどう扱うか。本書を読むと、判断のプロセスを外側から見直す視点が少しずつ増えていきます。 そして一番刺さったのは、「最初に物事を決めつけると真実は歪む」という、ごく当たり前なのに実行が難しい一点です。これは冤罪だけの話ではなく、日常のミスコミュニケーションや、チームでの認識ズレにもそのまま当てはまります。完璧さを求めるのではなく、目の前の事実をひとつずつ確認しながら精度を上げていく姿勢こそが、人間にとって現実的なやり方なんだと腑に落ちます。 自分の判断に不安がある人、感情と事実の線引きに悩んでいる人には、とくに刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの52%が集中しています。
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