
批評について
ノエル・キャロル and 森功次
この本について
作品を前にしたとき、「これって結局どう評価すればいいんだろう…」と立ち止まることがよくあります。自分の好き嫌いだけで語るのも違う気がするし、かといって一般論だけでは腑に落ちないまま終わってしまう。批評を読むのは好きでも、いざ自分の中で価値をつけようとすると手が止まる。そんなモヤモヤに刺さるのが『批評について』です。 この本の面白いところは、「批評は主観か客観か」といった大雑把な議論から離れ、作品ごとの“目的”や“カテゴリー”に視点を戻してくれるところです。芸術家がどんな狙いでその作品を作ったのか、その達成度をどこで判断できるのか。読者が保存した抜粋にもありますが、本書はそれを批評の中心に据えます。その結果、「なぜこの作品のこれが長所と言えるのか?」が、単なる好みではなく説明できるようになる。スラップスティックの尻もちが“長所”になる理由が腑に落ちるように、ジャンルごとの目的が見えると評価の基準も変わってきます。 もうひとつ助かるのは、カテゴリー間の“重要性の違い”に踏み込んでいる点です。ミケランジェロとウッドハウスを同じ物差しで比べなくていい理由が言語化されると、「比べられないものを無理に比べていた」自分に気づきます。文化的な重要性の扱いをどう考えるかも、本書はかなり丁寧に解いてくれます。 作品の批評が好きな人よりも、どちらかと言えば「自分の感じた価値をうまく言葉にできない人」にこそ合う本です。自分の評価軸を少しずつ育てたい時期に、静かに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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