
予言の島 (角川ホラー文庫)
澤村伊智
この本について
仕事で理不尽な言葉を浴びたり、誰かの機嫌に怯えて過ごした日のあとって、自分でも気づかないうちに思考が縛られていたりします。怒鳴られたわけでもないのに、どこか「呪い」みたいなものが残る感じ。抜粋を読んでいて、宗作の受けた罵倒が“呪縛”として描かれているところに反応した人は、きっとこういう感覚を日常でうっすら抱えているのかなと思いました。 『予言の島』はホラーという枠にありつつ、そうした心の縛られ方に現実的に切り込んできます。霧の島という舞台設定や「霊魂が堕ちる」という予言はもちろん物語の核なんですが、読んでみると、むしろ怖さの中心にあるのは人間同士の関係なんですよね。言葉による支配がどれだけ人を追い詰めるのかとか、過去の出来事がどんな形で今の自分に影響してくるのかとか。ホラーの形を借りているけれど、描いているのはごく地続きの現実です。 個人的に効いたのは、曖昧な“違和感”をそのままにしない視点がもらえたこと。人って、説明のつかない不安があると「きっと自分の気のせいだ」と片付けがちですが、この物語ではそうした小さな兆しが丁寧に拾われていくので、自分の中のざらつきにも目が向くようになります。あと、過去に触れることは怖いけれど、向き合わないほうがもっと危ない、という静かな示唆もありました。 人の言葉に振り回されやすい人や、「あれ? なんかおかしい」と思いながら流してしまうことが多い人には、特に刺さると思います。ホラーの皮をしているけれど、心の感覚を整える本でもあります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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