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ぜんしゅの跫 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫)

ぜんしゅの跫 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫)

澤村伊智

累計読者数6
平均ハイライト数 1.3件/人
star総合評価 47/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 83%

この本について

人の記憶って、思い出したいところほど曖昧になっていくことがありますよね。いま目の前の生活に手一杯なのに、ふとした瞬間だけ昔の誰かの仕草や声だけが鮮明に蘇る。あれって何なんだろう、と考え出すと止まらなくなるし、ちょっと怖くもある。でもどこかで、確かめずにはいられない気持ちもあると思います。 『ぜんしゅの跫』を読んでいる人が保存している場面を見ると、その曖昧さと鮮明さの揺れが刺さっているんだろうな、と感じました。幼い頃のぎこちない会話、記憶の中でだけ生き生きとしていく真琴の姿、そして古い寺の空気が持つ静かな重さ。どれも「なかったことにはできない過去」がじわじわと形を取り戻してくる瞬間です。この作品は、怖さで押し切るタイプのホラーではなく、思い出の綻びから何かが滲んでくるような感覚が続きます。 読み進めるうちに、自分の中にも似たような“引っかかり”があることに気づきます。忘れたと思っていた記憶が実は形を変えて残っていたり、誰かへの想いが時差をつけて自分に返ってきたり。そういう経験をしている人には、この物語がちょっとした鏡のように働くはずです。 過去との距離感に悩んだことがある人に、静かに刺さる一冊だと思います。

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