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嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA)

嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA)

小川 哲

早川書房 / 2022-07-06

累計読者数21
平均ハイライト数 2.8件/人
推定読了時間 約3時間28分
star総合評価 48/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 38%

この本について

仕事でも日常でも、「自分の好きって本当に自分のものなのか?」みたいな妙なざらつきが残ることがあります。便利になった分だけ、気づけば周りと同じものを選び、同じように振る舞っていて、でもそれに文句をつけるほどの強い理由もない。ただ、なんとなく物足りない。そんな感覚を抱えている人は多い気がします。僕もその一人です。 『嘘と正典』を読んでいて刺さったのは、この“物足りなさ”の正体が、作中ではとても具体的に描かれていることでした。たとえば、流行が生まれ、変わり、消えていくプロセス。それが人の好奇心や人格にどんな作用をしていたのか。あるいは、便利さが差異を奪っていく世界で、人がどうやって「自分」を形作ろうとするのか。SFやマジックの装いをまといながらも、読み終えたあとに残るのは、思いがけず現実的な視点でした。「自分が当たり前に享受しているものを一度外側から見てみる」という行為を、物語越しに体験させられる感じがあります。 派手な啓発ではなく、ただ静かに視界が広がるだけ。その変化がちょうどいい人に、この本はたぶん強く刺さります。普段、カルチャーに触れながらも「どこか閉塞感がある」と感じている人には、特にしっくりくるかもしれません。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

マルクスとエンゲルスの出逢いを阻止することで共産主義の消滅を企むCIAを描いた歴史改変SFの表題作をはじめ、零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる青年の感動譚「ひとすじの光」、音楽を通貨とする小さな島の伝説「ムジカ・ムンダーナ」など6篇を収録。圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する著者初の短篇集。解説:鷲羽巧
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