
農業消滅 (平凡社新書0979)
鈴木 宣弘
平凡社 / 2021-07-15
この本について
食べ物の値段が上がったり、国産が減っていると聞いたりするたびに、「この先どうなるんだろう」とぼんやり不安になることがあります。自分の暮らしには直結しているはずなのに、農業政策って急に専門的になって、距離を感じてしまうんですよね。僕もずっとそんな調子でした。 この本は、そのモヤモヤを「そういう仕組みだったのか」と現実の輪郭にしてくれました。たとえば、種子法や種苗法の変更が、単に制度の話ではなく、農家が自分の種を守れなくなるプロセスだったという点。あるいは、酪農が世界的には電気やガスのような基礎インフラとして扱われているのに、日本だけが“市場任せ”で削られている現状。読みながら、今の価格や流通の裏側にどんな力学が働いているのかが、ようやく一本の線としてつながりました。さらに印象的だったのは、南米の農民たちが自分たちで認証制度をつくって対抗したエピソードで、「守る仕組みは上から降ってくるものだけじゃない」と静かに背中を押される感覚がありました。 この本は、陰謀めいた話に振り切るでもなく、逆に「全部安全」と言い切るわけでもなく、「わからないことはわからない」と立ち止まる姿勢で書かれています。そのバランスが、現場の農家が何に苦しんでいて、何が失われつつあるのかを、自分の生活に引き寄せて考えるきっかけになりました。 自分の食べ物がどうやって守られてきたのか気になり始めた人、毎日の買い物の裏側にある構造を一度ちゃんと知っておきたい人には、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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