
農家はもっと減っていい~農業の「常識」はウソだらけ~ (光文社新書)
久松 達央
光文社 / 2022-08
この本について
農業の話って、専門用語も多いし利害関係も複雑で、どこから理解していいか分からないまま「なんとなく心配だけ残る」という人、多いと思います。僕自身も、農家は減ってはいけないとか、国産を守るべきだとか、そういう空気に引っ張られつつ、でも実態はどうなっているんだろうとずっとモヤモヤしていました。 この本は、その曖昧な不安に対して、情緒ではなく現場の数字と構造で輪郭を与えてくれます。たとえば、加工・業務向けの需要が全体の6割を占めている中で、国産の供給がそもそもロットに合わないという現実。あるいは、赤字農家が退出できないことで農地集約が進まず、効率的なプレイヤーが主食米を作れなくなる矛盾。こういう構造を知ると、「農家は減ってはいけない」という思い込みが一度リセットされて、議論の地図がはっきりしてきます。 もうひとつ印象に残ったのは、弱者側の戦略もちゃんと描かれていることです。大規模化の流れに乗れない地域や小さな農家にとって、同じ土俵で勝負すること自体が無理筋で、本来は条件に合った別の戦い方があり得るという指摘。売り方ひとつ取っても、自分が本当に好きだと言い切れるものを渡せるかどうかという、ごく人間的な基準が効いてくる。その視点は、農業の外にいる自分にも刺さりました。 農業政策やフードシステムのニュースを見るたびに「背景が分からないまま意見だけ流れていく感じがつらい」という人には特に向いています。読み終える頃には、表面的な議論に振り回されにくくなるはずです。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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