
遊廓と日本人 (講談社現代新書)
田中優子
講談社 / 2021-10-20
累計読者数4
平均ハイライト数 3.8件/人
推定読了時間 約2時間50分
star総合評価 53/100
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この本について
昔の制度や歴史を学ぼうとすると、「結局これはどう成り立っていたんだっけ」と、断片だけ知って余計にモヤモヤすることがあります。特に遊廓の話は、イメージが独り歩きしていて、実際の姿がよく分からないまま終わってしまうことが多い気がします。ぼく自身、名前だけ知っていて仕組みまで追えていない場所の一つでした。 この本が助かったのは、遊女がなぜそこで働くことになったのか、どういう契約や借金が背景にあったのかといった「生活のリアル」を淡々と説明してくれるところです。借金のかたとして自由が奪われる構造は、単なる悲劇として語られるよりずっと重く、でも当時の社会制度の流れの中で理解すると、今の労働や契約の感覚とつながる部分も見えてきます。また、吉原がどう成立したのか、かぶき者や芝居町の騒乱がどう影響したのかなど、制度が作られた“前後関係”が分かるので、歴史が一枚の地図のように見えてきます。三味線が入った瞬間に文化が一気に華やぐ描写も、ただの美談ではなく、当時の人が何に夢中になっていたかが伝わってきて面白いんです。 過去の社会がどう動いていたのかを、現代の感覚だけで判断せずに理解したい人には、特に刺さると思います。今の私たちの価値観からは距離のある世界なのに、読んでいくと意外なほど “今と地続き” の部分が見えてきて、そのギャップに救われる本でした。
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出版社による紹介
人権無視の悲哀の場か、日本文化の聖域か。 「日本史の陰影(タブー)」を再考する。 江戸学の第一人者による「遊廓入門」の決定版! -------------------------------------------------------------- 遊廓は二度とこの世に出現すべきではなく、 造ることができない場所であり制度です。 一方で遊女が、高い教養を持ち、輸入香木を焚きしめ、とても良い香りを放ち、和歌を作り、三味線を弾き、生け花や抹茶の作法を知っており、一般社会よりもはるかに年中行事をしっかりおこない、日本文化を守り継承してきた存在でもあったことを忘れてはなりません。 ----------------------------------------------------------------- 【本書の目次】 はじめに 第一章 吉原遊廓の誕生 第二章 遊廓とはどういう場所か? 第三章 遊女とはどんな人たちか? 第四章 男女の「色道」と吉原文化 第五章 吉原遊廓の三六五日 第六章 近代以降の吉原遊廓 終章 遊廓をどう語り継ぐべきか 【本書の内容】 ・遊郭は「辺境の別世」「身分のない世界」 ・「不夜城」と呼ばれた吉原遊廓 ・「色好み」という日本文化の伝統 ・井原西鶴が描いた「床上手」な遊女たち ・恋を創るために読まれた「色道」 ・江戸の「いい男」「いい女」の条件とは ・遊女を世に知らしめた「洒落本」と「浮世絵」 ・遊女の人権が問われた「マリア・ルス号事件」 ・吉原遊廓の凋落と消えゆく江戸文化 ……ほか
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