
歴史修正主義 ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで (中公新書)
武井彩佳
この本について
歴史について考えるとき、「事実ってどこまで信じていいんだろう」とか、「解釈がこんなに割れるのはなぜなんだろう」と、ふと立ち止まることがあります。ニュースでもSNSでも、同じ出来事を見ているはずなのにまったく違う物語が語られる場面に出会うと、自分の足場が揺れるような感覚になることもあります。 この本は、そんな揺らぎの理由を丁寧に説明してくれます。史料がそもそも偶然や選抜の産物であること、そして歴史家は論を支えるために「どの事実を拾い、何を脇に置くか」を常に判断していること。読者が保存している部分を見ると、この「選択のプロセス」や「解釈が政治に動かされる構造」に強く反応しているように感じました。ドレフュス事件からニュルンベルク裁判、そして戦後の陰謀論まで、歴史がどのように現在の利害によって書き換えられうるのかが、具体的なケースで示されます。抽象的な話と思いきや、実際には人と制度の積み重ねが形を変えていく現場が見えてくるので、腹落ちしやすいです。 特に、歴史修正主義が「過去のため」というより「未来のため」に行われるという指摘は、自分が日常で感じていた違和感とつながりました。過去が争われるとき、その背後には必ず「これからどうしたいか」という現在の欲望がある。これは歴史の話にとどまらず、組織でも、コミュニティでも、同じ仕組みを見かける気がします。 過去の事実を学びたいというより、「物語がどう作られるのか」を知りたい人に刺さる一冊です。
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ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
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