
優等生は探偵に向かない 〈自由研究には向かない殺人〉シリーズ (創元推理文庫)
ホリー・ジャクソン and 服部 京子
この本について
人の気持ちって、表面だけ見ていると全然わからないことが多いですよね。家族でも友人でも、「なんでそんな行動を?」と首をかしげてしまう瞬間があって、自分のほうが置いてけぼりになるようなあの感じ。そんなモヤモヤを抱えたまま日々を過ごしている人には、この物語の空気がけっこう沁みます。 『優等生は探偵に向かない』は、失踪事件を追うピップの日常が細かく描かれるんですが、読んでいるうちに事件よりも「人が抱える秘密の重さ」「うまく言葉にできない感情」がじわじわ効いてきます。たとえば、大人になっても好きな映画をいじられるのが恥ずかしい感覚とか、SNSの微妙な失敗を見られてしまったときの居心地の悪さとか、家族とのズレとか。抜粋が保存されている箇所を見ると、読者は“事件そのもの”より、“人がふと見せる弱さ”のほうに反応しているんだと思います。 ピップも万能ではなく、むしろ不安を抱えたまま動くタイプで、その戸惑い方がリアルです。検索履歴を追いかけたり、家のチャイムの残響さえノイズに感じたり、人のちょっとした表情に「もしかして」を読み取ったり。現実でも、正解のない状況でどうにか前に進もうとするときってこんな感じだよな、と静かに寄り添われます。 「誰かの行動の裏側を想像するのが苦手」「人付き合いの違和感を放置したままにしてしまう」。そんな人に刺さるタイプのミステリーです。事件は大きいのに描写は日常の延長線上で、そのバランスが心地いい一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの14%が集中しています。
読書の順序
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