
この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか (河出新書)
奥泉光 and 加藤陽子
河出書房新社 / 2022-06-18
この本について
歴史の話になると、「結局どこから読み解けばいいのか…」という迷いがつきまといますよね。戦争に関する議論でも、感情やイメージが先に立ってしまい、背景の構造が見えにくいまま終わってしまうことが多い気がします。僕自身も、近代日本がどうやって“国民”をつくろうとして、どこでボタンを掛け違えたのかがずっと腑に落ちませんでした。 この本は、そのモヤモヤをほどくための視点をいくつかくれます。たとえば、国民統合を議会ではなく軍が担ってしまった経緯や、勅語が時代の中でどう解釈を変え、ついには宗教的なテキストのように扱われていく流れ。そうした細かな変化が積み重なって、昭和の軍部独走につながっていくプロセスが、抽象論ではなく具体的な場面として描かれていきます。また、私たちが「物語なしには現実を認識できない」という指摘も、戦争を語るときの自分の姿勢そのものを見直すきっかけになります。 読みながら思ったのは、戦争そのものよりも、「どうしてそんな判断が“当時は”妥当だと思われたのか」を丹念に追っていく本だということです。結果だけで歴史を評価しがちな自分には、この距離感がとても助かりました。表向きのスローガンやイメージではなく、実際の政治的な計算や、国民意識の形成過程に目を向けたい人には刺さると思います。 戦争を特別視するより、近代日本の“制度のズレ”を理解したいときに、静かに効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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