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死者の奢り・飼育(新潮文庫)

死者の奢り・飼育(新潮文庫)

大江 健三郎

新潮社 / 1959-09-29

累計読者数10
平均ハイライト数 15.9件/人
推定読了時間 約3時間10分
star総合評価 52/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 22%

この本について

日常を過ごしていると、ふと「自分がどこまで他人と混じり合えるのか」とか、「ここにいる自分は本物なのか」といった、説明しづらい不安が出てくることがあります。正面から言語化するほどでもないけれど、体の奥に残るざらつきだけは消えない。読者がこの本から抜き出していた場面を見ていると、その感覚に近いものを抱えているのだと思いました。 大江健三郎の『死者の奢り・飼育』は、そういう曖昧な不安を、きれいごとにせず、生々しいまま差し出してきます。人物同士の距離が急にねじれたり、優しさと残酷さが一つの行動に同居していたり、立場の違いで突然関係が反転したりする。その瞬間に立ち会うことで、「自分の中にもこういう揺れがある」と静かに気づかされます。読者が保存していた箇所の多くが、まさにその“揺れ”の瞬間でした。 この作品の効き方は派手ではありませんが、他人との関係の中で感じる罪悪感とか、優越と劣等が混じり合う感触とか、説明しづらい心の動きに名前をつけてくれるところがあります。しんどい関係性の中にも、なぜか少しだけ他者に触れたい気持ちが残る、その複雑さを否定しないのが救いでした。刺さる人は限られると思いますが、「人とかかわるたびに揺さぶられてしまう人」には深く響くはずです。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。
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