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燃えあがる緑の木―第一部 「救い主」が殴られるまで―(新潮文庫)

燃えあがる緑の木―第一部 「救い主」が殴られるまで―(新潮文庫)

大江 健三郎

累計読者数3
平均ハイライト数 13.3件/人
star総合評価 48/100
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この本について

日々の生活の中で、自分がどこに立っているのか分からなくなる瞬間ってありませんか。いま抱えている問題が “自分だけのもの” に思えて、でも言葉にしてしまうと何か違う気もして、うまく位置づけられないあの感じです。僕自身、焦りや不安に巻き込まれそうになるたびに、「もう少し長い時間の流れで物事を見られたらな」と思うのですが、実際にはそんな余裕なかなか持てません。 『燃えあがる緑の木』は、その“時間の手触り”を取り戻すような読書体験でした。読者の方が保存されている抜粋を見ると、やっぱり多くの人が惹かれているのは、登場人物たちが語る「一瞬よりはいくらか長く続く間」という視点の置き方なんだろうと思います。直面している問題を永遠のスケールで考えようとするとつぶれてしまうけれど、ほんの少しだけ広い時間に身を置くと、背中を押されるような感覚が生まれる。僕にとってはそこが効きました。 もうひとつ強く残るのは、「物語を生きなおす」という態度です。起きたことを正確に再現するのではなく、自分が何を言いはりたいのかを軸に語りなおしていく。その姿勢は、過去の出来事をどう扱えばいいのか迷っている時に、小さな出口のように感じられます。誰かから受け継いだ言葉や土地の記憶にゆっくり触れていく描写も、自分の足場を探している人には響くはずです。 立ち止まり方が分からないまま日々を走ってしまう人や、過去と現在のつながりをうまく扱えずにいる人に、とくに刺さる一冊だと思います。

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