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行人

行人

夏目 漱石

新潮社 / 1952-03-24

累計読者数10
平均ハイライト数 31.2件/人
推定読了時間 約5時間22分
star総合評価 79/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 69%

この本について

人間関係で「相手の気持ちが読めない」とか、「自分の言葉が相手にどう届いているのか不安になる」という瞬間って、日常のどこにでもありますよね。悪気はない一言が空気を変えてしまったり、相手の沈黙の意味を勝手に深読みしてしまったり。頭では分かっていても、心のほうが追いつかないあの感じです。 漱石の『行人』を読んでいると、まさにその不安に直面している人たちが丁寧に描かれていて、他人の胸の内を「分かったつもりになる怖さ」を一度立ち止まって見つめ直させられます。たとえば、気軽に投げた質問で相手の顔色が変わり、取り返しがつかなくなる場面。あるいは、兄の「女も気狂にして見なくっちゃ本体は分からない」という投げやりにも聞こえる嘆息に、彼自身の行き場のなさがにじむところ。こういう曖昧さや温度差を、そのままの質感で残しているのがこの作品の効き目です。 読みながら気づくのは、誤解や猜疑が生まれる瞬間はすごく些細で、しかも自分も日常で同じことをやっているという事実です。だからこそ、人物たちの濁った心の流れを追うことで、自分のコミュニケーションにも少しだけ余白を持てるようになる。相手が冷淡なのか、ただ性急なのか、判断できないまま立ち止まる時間が無駄ではなく感じられます。 「人の気持ちを分かったつもりになるのが怖い人」に刺さる本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

学問だけを生きがいとしている一郎は、妻に理解されないばかりでなく、両親や親族からも敬遠されている。孤独に苦しみながらも、我を棄てることができない彼は、妻を愛しながらも、妻を信じることができず、弟・二郎に対する妻の愛情を疑い、弟に自分の妻とひと晩よそで泊まってくれとまで頼む……。「他の心」をつかめなくなった人間の寂寞とした姿を追究して『こころ』につながる作品。(解説・大野淳一)
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