
三四郎
夏目 漱石
オリオンブックス / 2015-02-01
累計読者数37
平均ハイライト数 9.1件/人
推定読了時間 約2時間19分
star総合評価 51/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 19%
この本について
東京に出てみると、人も情報もやけに多くて、自分がどこに立っているのか分からなくなることがあります。動いている世界の端っこに立って眺めているだけで、うまく参加できていないような気がしてしまう感じ。焦るほどでもないけれど、でも何か置いていかれている気がする。あの落ち着かなさに近いものを、三四郎を読んでいると何度も思い出しました。 漱石の描く東京は、便利になっていくのに、そのせいで迷子になる主人公が歩き回る街です。電車に乗り過ごしたり、人の多さに圧倒されたり、目の前にあるのにうまくつかめない恋心に戸惑ったり。読んでいて「自分もこういう小さなつまずきの連続で生きてるな」と素直に思えるのが、この作品の効き方だと思います。美禰子のような、人を一瞬で混乱させる存在に触れる場面は、まさに抜粋にあった“現実世界の稲妻”という言い方がぴったりで、短いのに気持ちを大きく揺らすあの感覚を丁寧に残してくれます。 同時に、三四郎が自分の徳義や正しさに自信がなくなりつつ、それでも都会の空気の中で少しずつ自分の形を見つけていく様子は、読んでいる側にも「完璧じゃなくても、とりあえず今日をやっていけばいいか」と思わせてくれます。動く世界と距離を感じている人にこそ、ゆっくり効いてくる小説です。 こんな人に刺さると思います。現実にうまく触れられない日の自分を、少しだけ許したいとき。
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出版社による紹介
明治末期の青春と恋愛事情を描く。熊本の高等学校を卒業し上京。東京の大学に入った小川三四郎。田舎とは違い東京は驚きの連続であった。そこで出会った仲間達との交流により様々な経験をする。三四郎を翻弄し悩ませる美禰子への恋は実るのか。謎の言葉「ストレイシープ」とは……。読みやすくするため現代の言葉に近づけてますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
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