
同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史
伊藤博敏
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この本について
仕事でも地域でも、人と向き合う場面が増えるほど、「正しさ」と「現実」のあいだで足が止まることが多いなと感じます。理屈は分かるけれど、実際には利害や力関係が絡んで、一歩踏み出す判断が難しいまま時間だけが過ぎていく。そんなモヤモヤを抱えたまま過ごしている人は少なくないと思います。 この本を読むと、戦後の政治や行政、企業や暴力団まで、きれいごとでは説明できない“人が動く理由”が立ち上がってきます。例えば、誰かの「義理人情」が現実の政策や組織を動かしてしまう瞬間や、表向きは正義を語りながら裏では利権と力の調整が続いていた事例が、具体的な人名と出来事で描かれています。読んでいると、今の自分の職場のあの温度差や、地域での調整ごとの面倒くささにも通じる部分が見えてきて、判断の基準が少しだけ現実的になります。 また、登場する人々が一枚岩でなく、迷いながら動いている点も印象的でした。弱い立場に寄り添おうとする動機と、自分の周囲を守ろうとする打算が同時に存在していて、その揺らぎがかえって人間らしい。歴史を知るというより、「人がどうしてそう動くのか」を理解する本に近い感覚でした。こういう視点を持っていると、目の前の対立やトラブルに対しても、すぐに善悪で片付けなくなると思います。 裏側の力学を知らないまま現場で板挟みになることが多い人に、静かに刺さる本です。
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