
齟齬の誘惑 (講談社学術文庫)
蓮實重彦
講談社 / 2023-03-09
累計読者数5
平均ハイライト数 56件/人
推定読了時間 約3時間49分
star総合評価 75/100
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この本について
最近、目の前の出来事に「なんでこんなに違和感があるんだろう」と思う場面が増えました。納得しきれないまま流れに合わせてしまうけれど、あとで妙な疲れだけが残る。仕事でも大学でも、言葉が上すべりしていくような感覚に戸惑うことがあります。 蓮實重彦『齟齬の誘惑』は、その“戸惑い”そのものを正面から扱っています。読みどころは、違和感や齟齬を排除せずに観察し続ける姿勢が、むしろ思考を動かす土台になると繰り返し語られているところです。儀式的な場での言葉のぎこちなさや、社会に蔓延する「何かを理解した気分」に対する鋭い指摘は、日常のコミュニケーションや職場の空気に引っかかりを覚えるときの手がかりになります。そして、変化しないものと変化するものを同時に見る「ゆるやかで複合的な視点」への誘導は、ものごとに早く答えを求めすぎてしまう自分を少し落ち着かせてくれる感じがありました。 この本は、混乱や不自然さをすぐに片づけず、考え続ける余裕を持ちたい人に刺さると思います。理解したつもりに逃げず、驚きや隔たりを抱えたまま思考するという行為が、こんなにも肯定されるのかと、読んだあと静かな勇気が残りました。
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多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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出版社による紹介
「社会とは、いくつもの齟齬感や、違和感や、隔たりの意識が複雑に交錯しあう苛酷な空間にほかなりません」――。 東大生の心を慄(ふる)わせた伝説の入学式式辞のほか、大学は知と人が行き交い別れる「寄港地」たれと説く「第三世代の大学」論、運動論、映画論など、仏文学・映画評論の大家が、学問と教育に関わるすべての人に真摯に呼びかける、知の革新のための書! [目次] いま、この書物の読者となろうとしているあなたに 一 齟齬の誘惑 二 真実の位置 三 第三世代の大学 四 東京大学をめざす若い男女に 五 視線の論理・視線の倫理 総長日誌 学術文庫版へのあとがき 「社会に生きているわたくしたちは、何かを理解することで変化するのだし、当然、その変化は社会をも変容させる契機をはらんでいるはずです。ところが、「何かを理解したかのような気分」の蔓延は、そうした変化や変容の芽を、いたるところでつみとってしまいます。」 ――「いま、この書物の読者となろうとしているあなたに」より
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